開業前の経費はどこまで認められる?スマホ・パソコンなど個人事業主の開業費を解説
2026年8月17日 2026年8月17日

「開業前に買ったパソコンは経費になる?」「開業前から使っているスマホ代はどうすればいい?」「そもそも開業前なのに経費にできるの?」
これから開業する方、開業したばかりの方から、よく寄せられる疑問です。
結論から言うと、開業前に支払ったものでも、開業準備のための支出なら「開業費」として処理できる場合があります。
ただし、開業前のお金がすべて「開業費」になるわけではありません。プライベートな支出や、仕入代金・敷金のように別の処理が必要なものもあるので注意が必要です。
この記事では、開業前の経費がどこまで認められるのか、開業費とは何か、スマホやパソコンを開業前に買っていた場合の考え方まで、初心者向けにわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 開業前の支出を経費にできるケース
- 開業費として認められるもの・認められないもの
- スマホやパソコンを開業前に買った場合の考え方
- 開業費を計上するために残しておきたい書類
目次
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開業前にかかった費用は経費にできる?
開業前の支出でも、事業を始めるための準備として使ったお金であれば、開業費などとして処理できる場合があります。
「開業日より前だから経費にできない」というわけではありません。
ただし、次の点には注意が必要です。
- 開業前に買ったものが、すべて「開業費」になるわけではない
- プライベートな支出(生活費や趣味の買い物など)は対象外
- 支出の内容によって、開業費・固定資産・仕入など処理方法が異なる
たとえば、開業のために作った名刺代は開業費になり得ますが、販売する商品の仕入代金は開業費ではなく「仕入」として処理します。
同じ「開業前の支出」でも内容によって扱いが変わるため、まずは「開業前に使ったお金=すべて開業費」ではないことを押さえておきましょう。
個人事業主の「開業費」とは?
「開業費」とは、個人事業主が事業を始めるための準備にかかった費用のうち、税務上「開業費」に該当するものを指します。
広告宣伝費や名刺の作成費、開業準備のための打ち合わせ費用などが代表例です。
ここで注意したいのが、「開業費=開業前に使ったお金全部」ではないという点です。開業費として処理できるのは、あくまで開業準備との関連性を説明できる支出です。
また、個人事業主の開業費は、税務上の「繰延資産」として扱われます。
いったん資産として計上し、その後「償却」という処理によって必要経費に算入していく仕組みです。
開業費は任意のタイミングで償却できる
個人事業主の開業費は、税務上、主に次の方法で償却できます。
- 60か月(5年)で償却する方法
- 任意償却
任意償却では、その年に必要経費へ算入する金額を調整できます。
たとえば、開業初年度の利益が少ない場合は償却額を抑え、利益が増えた年に多めに償却するといった方法も考えられます。
開業費の内容や金額がわかるよう、領収書やレシート、支出目的を記録したメモなどを残しておきましょう。
開業費として認められるもの一覧
開業準備との関連性が認められる支出には、次のようなものがあります。
| 支出内容 | 開業費になり得る例 |
|---|---|
| 広告宣伝費 | 開業を知らせるチラシ・広告の制作費 |
| 名刺・チラシ制作費 | 名刺、パンフレットなどの印刷費 |
| Webサイト関連費 | 開業準備のためのサイト制作費など |
| セミナー・書籍代 | 開業準備に必要な知識を得るための費用 |
| 交通費 | 市場調査・競合調査・物件見学などの移動費 |
| 打ち合わせ費用 | 開業準備に必要な打ち合わせ費用 |
| 通信費 | 開業準備のために使用した通信費 |
| 文房具など | 開業準備のために使用した消耗品 |
ただし、「この項目なら無条件に開業費になる」というわけではありません。
重要なのは、事業を始めるために必要だった支出であることを説明できるかどうかです。
同じ交通費でも、プライベートな旅行の交通費であれば当然開業費にはなりません。
領収書だけでなく、いつ・何のために使ったのかがわかる記録も残しておくとよいでしょう。
開業費として認められないもの・別の処理が必要なもの
開業前に支払ったものでも、すべてを「開業費」として処理できるわけではありません。
代表的なものを整理してみましょう。
プライベートの生活費
食費や趣味の買い物など、事業との関連性がない個人的な支出は開業費にはできません。
商品の仕入代金
販売するための商品や材料などの仕入代金は、開業費ではなく「仕入」などとして処理します。
敷金など返還されるもの
将来返還される敷金などは、原則として支払った時点で経費にはせず、資産として処理します。
固定資産として処理するもの
高額なパソコンやスマホ、機械など、長期間使用する資産については、開業費ではなく固定資産として計上し、減価償却が必要になる場合があります。
開業後に発生した通常の事業経費
開業後に発生した通信費や広告費、消耗品費などは、原則として開業費ではなく通常の必要経費として処理します。
つまり、「開業費にならない=経費にできない」ではありません。支出の性質に応じて、適切な方法で処理することが大切です。
開業前に買ったスマホ・パソコンは経費にできる?
開業前に買ったスマホやパソコンも、事業で使用するのであれば、税務上の処理対象になる場合があります。
ただし、次のような条件によって処理方法が変わります。
- 購入金額
- 購入した時期
- 事業での使用状況
- プライベートとの兼用の有無
10万円未満のスマホ・パソコン
取得価額が10万円未満のスマホやパソコンで、開業準備のために購入したものについては、開業費として処理できる場合があります。
ただし、単純に「10万円未満なら必ず開業費」というわけではありません。購入した経緯や事業との関連性などを踏まえて判断する必要があります。
10万円以上のスマホ・パソコン
取得価額が10万円以上のスマホやパソコンなどは、原則として固定資産として計上し、減価償却によって費用化することを検討します。
取得価額や申告方法などによっては、少額減価償却資産に関する制度を利用できる場合もあります。
スマホ本体の金額別の処理方法や仕訳について詳しく知りたい方へ
プライベートと兼用している場合
開業前から使っているスマホを、開業後もプライベートと仕事の両方で使用する場合は、事業利用分を合理的な基準で分ける「家事按分」が必要になります。
たとえば、通信費のうち事業利用が60%であれば、合理的な根拠に基づいて事業利用分を必要経費として計上するといった考え方です。
1台運用と2台持ちの違いや、個人事業主の携帯代の経費処理について詳しく知りたい方へ
開業費は何年前までさかのぼれる?
「開業費は何年前まで認められるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
個人事業主の開業費について、「開業日の○か月前まで」「○年前まで」といった一律の期間が定められているわけではありません。
重要なのは、期間そのものよりも次の3点です。
- 開業準備のための支出であること
- 事業との関連性を説明できること
- 領収書などの記録が残っていること
ただし、開業日から支出時期が離れるほど、「なぜその支出が開業準備のためだったのか」を説明することが難しくなる可能性があります。
領収書などと一緒に、支出の目的も記録しておくとよいでしょう。
開業費を計上するために残しておきたいもの
開業費として処理するためには、支出の事実や内容を確認できる記録を残しておくことが大切です。
たとえば、次のような資料です。
- 領収書
- レシート
- 請求書
- クレジットカードの利用明細
- 購入内容がわかるメール
- 開業準備との関連性がわかるメモ
特に開業日から時間が経ってから確定申告する場合、「これは何の支払いだった?」とわからなくなることもあります。
領収書を保管するだけでなく、「○○事業の開業準備のため」など支出目的も記録しておくと整理しやすくなります。
なお、帳簿や書類の保存期間は、申告方法や書類の種類などによって異なります。最新のルールは国税庁の案内などで確認してください。
開業費の仕訳例
開業費の基本的な仕訳を、簡単な例で確認してみましょう。
開業前に名刺を1万円で作成した場合
開業準備のために名刺を1万円で作成し、個人のお金で支払ったとします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 開業費 | 10,000円 | 元入金 | 10,000円 |
開業前に個人資金で支払った開業準備費用を、開業時に「開業費」として計上する例です。
開業費を5万円償却する場合
開業費のうち5万円をその年の必要経費に算入する場合は、たとえば次のように処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 開業費償却 | 50,000円 | 開業費 | 50,000円 |
使用する勘定科目や会計ソフトによって表示・処理方法が異なる場合があります。具体的な仕訳に迷った場合は、税理士などの専門家へ確認しましょう。
開業前の経費に関するよくある質問
Q.開業届を出す前に買ったものも経費になりますか?
開業届を提出する前に支払ったものでも、実際に開業準備のために必要だった支出であれば、開業費などとして処理できる場合があります。
ただし、支出内容によっては固定資産や仕入など、開業費とは別の処理が必要です。
Q.開業の1年前に買ったものでも対象になりますか?
「1年前までなら必ず対象」といった一律の基準はありません。
開業準備との関連性を説明できるかどうかが重要です。支出時期が開業日から離れている場合は、特にその根拠となる資料や記録を残しておきましょう。
Q.開業前に買ったiPhoneは経費になりますか?
事業に使用するiPhoneであれば、開業前に購入したものでも税務上の処理対象になる場合があります。
ただし、取得価額や購入時期、プライベートとの兼用状況などによって、開業費・固定資産・家事按分などの扱いが変わります。
Q.開業前に買ったパソコンは経費になりますか?
スマホと同様に、事業で使用するものであれば処理対象になる場合があります。
ただし、高額なパソコンなどは開業費ではなく固定資産として計上し、減価償却するケースがあります。
Q.領収書がないと開業費にできませんか?
領収書は支出を証明する重要な書類ですが、クレジットカードの利用明細や購入履歴、メールなど、支出の事実や内容を確認できる資料が証拠になる場合もあります。
支出を確認できる資料はできるだけ残しておきましょう。
Q.開業費はいつ経費にするのがお得ですか?
開業費は任意償却が認められているため、その年の利益状況などに応じて償却額を調整できます。
ただし、どのタイミングで償却するのが有利かは、所得やほかの経費・控除などによって異なります。節税を目的として償却時期を判断する場合は、税理士などへの相談がおすすめです。
まとめ|開業前の支出を整理して、仕事用スマホも見直そう
開業前に支払った費用でも、事業を始めるために必要な支出であれば、開業費などとして処理できる場合があります。
ただし、開業前の支出がすべて開業費になるわけではありません。スマホやパソコンについても、購入金額や購入時期、事業での使用状況によって処理方法が異なります。
開業前後は、経費だけでなく「仕事用とプライベート用をどう分けるか」を整理しておくのも大切です。
特にスマホは、プライベートと兼用すると事業利用分を区分する必要があります。開業を機に仕事用スマホを別で用意しておけば、仕事とプライベートを分けやすくなり、毎月の通信費も管理しやすくなります。
次のような方は、事業用スマホの契約を検討してみるのもひとつの方法です。
- 仕事用のスマホを1台用意したい
- 個人事業主でも事業用の契約はできるか知りたい
- 今使っている回線と料金を比較したい
法人通信では、個人事業主の方も1回線から事業用スマホについてご相談いただけます。
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